羽織の飾りしつけ

羽織の衿先のしつけ

先日、羽織を仕立てました。
羽織の衿のしつけ、とても美しい形だと思います。
いったい誰が考えたんでしょう?

着物、和裁は無駄を削ぎ落とした美しい形で溢れています。
そういうところが私は好きです。

男物と女物の着物の違い

以前、男性の方から「家にあった着物なんだけどこのまま着ても大丈夫かな?」と見せられた着物が女物だったことがあります。
もちろん、ファッションとして男性が女物の着物を着るのは自由だし、素敵なことだと思います(女性が男物を着るのもすてきですね)。でも、知らずに着ていたらちょっと恥ずかしいこともあるかもしれません。

一般的には、男物と女物の着物は形が違います。
以下、特徴的な違いです(※そうでなければならないということではありません)。

  • 男物は対丈で着る⇄女物はおはしょりをして着る
  • 男物の袖には「人形」がある⇄女物の袖には「振り」がある
  • 男物には身八つ口がない⇄女物には身八つ口がある
  • 男物は内揚げがあるのが普通⇄女物は内揚げが無い場合もある
  • 男物の衿は棒衿⇄女物の衿はバチ衿か広衿が多い
  • 男物は繰越がない⇄女物には繰越がある

着物を見慣れていない人だとパッと見わからない違いかもしれませんね。

男物を女物に、女物を男物に仕立て変えることはできます(身丈次第ですが)。ご希望の方はぜひご相談ください。

子供物長着の種類、裁ち方

子供物長着(生まれてから12〜13才くらいまでの子供の着物)の裁ち方は、大人物とは異なります。

子供物長着の裁ち方は一般的に、「一つ身」「二つ身」「三つ身」「四つ身」「別衽裁ち(=「五つ身」)の5種類に分けられます。
(※ちなみに「六つ身」は「本裁ち(ほんだち)」=大人物長着の裁ち方と同じです。)

現在は「一つ身」「四つ身」「別衽裁ち」の3種類の仕立てが多いです。

子供の成長は早いので、特に普段着は大きめに仕立てて3年くらい着ることを目指します(肩揚げ腰揚げをします)。楽に安全に着られる様に心がけることも大切です。

また、子供の着物は大人の着物以上に、地域の風土や習慣よる違いが多く残っています。お祝い事など儀式の衣裳は、地域の風習なども良く考慮して仕立てることが求められます。

以下、それぞれの裁断図の例と特徴です。


※本裁ち(六つ身)は大人物長着と同じ裁ち方です

一つ身(ひとつみ)

・生まれてから2才くらいまで(いわゆる歩き始める頃)までの着物。
・背縫いがない。
・「産着」(=手通し)や「宮参り初着(みやまいりうぶぎ)」(=宮参り掛着)は一つ身裁ちが一般的。
・身頃が一枚布であることから「一つ身」と言う(※諸説あり)。

二つ身(ふたつみ)

・一つ身と同じ要尺で背縫いがある。
・両面物(裏表のない反物)でないと作れない。
・身幅が狭くなり実用性にかけるので現在ではほとんど作られない。
・一つ身に対し、身頃を二つに分けてあることから「二つ身」と言う(※諸説あり)。

三つ身(みつみ)

・主に満2歳くらいの子供の着物。
・身幅の割り振りのバランスが良く格好が良いのが特徴。
・両面物と片面物(裏表のある反物)とで裁ち方が違う。
・裁ち方が複雑で、着用期間が短く経済的でないので現在あまり作られない。
・反物要尺から袖を取った残りを3等分するから「三つ身」と言う(※諸説あり)。

四つ身(よつみ)

・3〜6、7才ぐらいまでの子供の着物。
・子供物の中では最も良く用いられ、七五三はこの裁ち方が多い(※7才は別衽裁ちや本裁ちにすることもあります)。
・前身頃をつまんで衽にする(つまみ衽)。
・反物要尺から袖を取った残りを4等分するから「四つ身」と言う(※諸説あり)。

別衽裁ち(べつおくみだち)=五つ身(いつつみ)

・7才〜12、3才ぐらいまでの子供の着物。
・「別衽付き四つ身」「大四つ身裁ち」「車裁ち」とも言う。
・十三参りの着物は、この別衽裁ちか本裁ちにすることが多い。
・反物要尺から袖を取った残りを5等分するから「五つ身」と言う(※諸説あり)。