既婚女性の第一礼装である黒留袖は1枚ではなく、「下着(したぎ)」も重ねて2枚で着るのが正式です。
このときの「下着」は「長襦袢」とは別のものです。
つまり、「黒留袖」「下着」「長襦袢」3枚が必要になります(実際にはその下に肌襦袢なども着ます)。
黒留袖の「下着」も「長襦袢」も白いので分かりづらいですよね。「下着」は着物の一種で、「上着の下に着る着物」という意味です。いわゆる洋装で言う下着ではないのです。「長襦袢」はいわゆる洋装で言う下着にあたります。
袷の黒留袖の「下着」の仕立て方には3種類あります。
現代は「付け比翼(つけびよく)」仕立てが多いです。
二枚重ね(本来の「下着」)
女物袷長着と同じ仕立て方。本来の「下着」です。
代々家に伝わる古い留袖などで見かけることがあります。黒留袖用の下着は白いので、長襦袢と間違われやすいです。衿が広衿で、袖が着物と同じ形で、おはしょりをして着る長さの白い着物が出てきたら、それは「下着」かもしれません。
本比翼(ほんびよく)
上着を仕立てる時に下着に見せる部分を一緒に縫って仕立て、下着部分のみを後で取り外せない仕立て方。仕立て方が複雑で、下着のみのお直しなども難しいからか、最近はあまり見かけません。
付比翼(つけびよく)
下着部分のみを別に仕立て上着にくけつける仕立て方。本比翼仕立てを簡単にした仕立てで、最近の仕立ては殆どこの仕立て方だと思います。
取り外しが簡単にでき、着やすく、用尺も少なくすみます。