浴衣の水通し

浴衣の反物は、綿や麻・化繊など家庭で水洗いができる素材が多いです。

水洗いをすれば生地がある程度縮むのは仕方がないのですが、水通しをして予め生地を縮ませてから仕立てることで、洗濯による縮みをできるだけ少なくすることができます。

写真は綿麻のシボのある浴衣反物で、丈が2尺で5分縮みました。2.5%の収縮率です。
もし水通ししないで仕立てて洗濯したら身丈が1寸(約3.78cm)くらい詰まってしまったかもしれません。

タンポポ和裁では、通常、生地の性質に応じて水通しをしてから浴衣を仕立てています。(水通しが必要のない場合、しない方がよい場合もあります)

ただ、浴衣は身丈短めで軽やかに着るのも良いものですし、水通しをするとパリッとしたノリの効いた風合いが損なわれるのでしたくないという方もいらっしゃいます。
お客様のお好みに合わせてお仕立ていたしますので、お気軽にご相談ください。

先日、近くの公園で咲いていた菜の花。
春は浴衣のお仕立て開始シーズンです。

「補綴(ほてつ)」のお仕事

和裁の教科書の最後の方に「補綴(ほてつ)」の章があります。
国語辞書によると「補綴(ほてつ)」とは、破れや不足を補いつづることを言うそうです。

和裁における「補綴(ほてつ)」も同じ意味で、布地を接ぎ合わせたり穴の開いたところを修理することを言います。

先日、めずらしく補綴のお仕事をいただいて、昔教わった記憶を頼りに何とか仕上げてみました。

布目を通して巻き縫いと割り縫いしました

かけつぎをもっと勉強してみたいと思いました。
もし、かけつぎの職人さんのワークショップなどがあれば是非参加したいです。

背縫いの力、縫い眼の力

八掛の背縫いの縫い目

古い言い伝えですが、背縫いの縫い目には着物を着ている人を守る力があると聞いたことがあります。

昔々、背中の首の下(ちょうど背紋を入れる位置あたり)に身体と外界の出入り口?があると考えられていたそうです。
うっかりするとそこから魂が抜け出てしまったり、悪い気(病気など)が中に入り込んでしまうことがあると。

大切な人、着物を着る人を守りたい。
そんな気持ちで着物を縫った昔の人たちは、着物の背縫いの縫い目が背中の「眼」として、悪い気が体に入ってこないようにジロリと睨みをきかせてくれると考えるようになったようです。
(赤ちゃんの着物である一つ身には背縫いが無いので、その代わりに背守りをつけます)

迷信深くない私も昔の人たちの祈りに思いをはせて、背縫いを縫う時は気持ちを整えて縫うように心がけています。(あまり心を込めたら迷惑かもしれないので、サラッと縫います、、)

着物の仕立て屋が広幅の洋服生地から着物を作る時も背縫いを付けたがるのは、背縫いがある方が着付けがしやすいということだけでなく、こんな理由もあるのでした。