袷の着物を縫う手順は、まず袖を作り、表身頃を縫い、裏身頃を縫います(「素縫い」(すぬい)と言います)。
素縫いが終わったら、袖と、表身頃と裏身頃を綴じ合せて合体させます(「まとめ」と言います)。
「まとめ」のときに使う中とじ糸は、昔は「しろも」という木綿のしつけ糸を使うことが多かったようです。
この「しろも」は長い間着物を保管したときに、着物にカビなどによるシミが出る原因の一つである可能性があると言われています。
着物の保管状態の問題や糸と着物地の相性もあるので一概に原因であるとは決めつけられないですが、実際に中とじ糸のところからシミが出てしまっている着物を見たことがあります。
昔は現代とは異なり、中とじ糸がカビたりする前に着物を洗い張りなどして仕立て直していたためか、あまり気にならなかったのかもしれませんね。
タンポポ和裁では、できるだけ着物がシミになる可能性を少なくするため、いわゆる生成り色の「しろも」では無く、真っ白なカタン糸40番を中とじ糸に使っています。
けれど、もしかしたら木綿糸ではなく絹糸を中とじ糸にすれば、着物がシミになる可能性をさらに下げられるのではないか?
素縫いに使っている絹手縫い糸を使うことも考えたのですが、絹手縫い糸はツルツルしているため、表身頃と裏身頃をなじませて適度に滑らないようにとじるのが難しいように思います。
そう思いまして、中とじ糸にふさわしい絹糸を探しているところです。
今度試してみようと思っているのが、絹小町糸です。
絹小町糸は絹の手縫い糸の一種ですが、くず繭を紡績してつくるので少しけば立っています。良さそうだったら、またブログでご紹介します!