7月に入りました。
薄物の着こなしが楽しい季節が到来です。
濃い色の透ける素材の着物の下に長襦袢の白が透けるのは何とも涼しげです。
小千谷縮などの麻の着物も、気軽に着やすくて好きです。
夏着物は少々暑いこともありますが、着ると蒸し暑さの中でだらけてしまいがちな気持ちがピリッと引き締まります。
今年はおでかけ回数が減りそうですが、ぜひ着て出かけたいです。
写真は私物の絽の反物です。
だいぶ昔にリサイクルで買った絽の単衣をほどき、筋消しに出しておいたものです。
反物幅が狭いので何にしようか思案中。
今年は間に合わないかもしれませんが、いつか形にしたいと思っています。
黒留袖の下着、比翼のお話
既婚女性の第一礼装である黒留袖は1枚ではなく、「下着(したぎ)」も重ねて2枚で着るのが正式です。
このときの「下着」は「長襦袢」とは別のものです。
つまり、「黒留袖」「下着」「長襦袢」3枚が必要になります(実際にはその下に肌襦袢なども着ます)。
黒留袖の「下着」も「長襦袢」も白いので分かりづらいですよね。「下着」は着物の一種で、「上着の下に着る着物」という意味です。いわゆる洋装で言う下着ではないのです。「長襦袢」はいわゆる洋装で言う下着にあたります。
袷の黒留袖の「下着」の仕立て方には3種類あります。
現代は「付け比翼(つけびよく)」仕立てが多いです。
二枚重ね(本来の「下着」)
女物袷長着と同じ仕立て方。本来の「下着」です。
代々家に伝わる古い留袖などで見かけることがあります。黒留袖用の下着は白いので、長襦袢と間違われやすいです。衿が広衿で、袖が着物と同じ形で、おはしょりをして着る長さの白い着物が出てきたら、それは「下着」かもしれません。
本比翼(ほんびよく)
上着を仕立てる時に下着に見せる部分を一緒に縫って仕立て、下着部分のみを後で取り外せない仕立て方。仕立て方が複雑で、下着のみのお直しなども難しいからか、最近はあまり見かけません。
付比翼(つけびよく)
下着部分のみを別に仕立て上着にくけつける仕立て方。本比翼仕立てを簡単にした仕立てで、最近の仕立ては殆どこの仕立て方だと思います。
取り外しが簡単にでき、着やすく、用尺も少なくすみます。
着物の衿型(棒衿、バチ衿、広衿)について
着物の衿型には、基本的に3種類あります。
棒衿、バチ衿、広衿です。
男物長着と子供物は棒衿が普通です。女物長着では、バチ衿か広衿を選びます。
棒衿
男物や子供物の衿型です。バチ衿と違って背中心から衿先まで太さが同じです。
バチ衿
女物長着の衿型です。主に浴衣やウールなど普段着の着物の衿型です。背中心から衿先にかけて、三味線のバチの形のように広くなっていることから「バチ」衿と言います。着付けが簡単です。
広衿
女物長着の衿型です。背中心を内側に半分に折って着ます。衿先にかけて折り幅を調節することで着姿の印象を変えることができます。胸が大きい方にもおすすめです。
仕立てるときには、表地とは別に裏衿が必要になります。