縫い代(ぬいしろ)の役割

着物の脇の縫い代(ぬいしろ)

着物は反物の耳までの余分の縫い代は裁ち落とさず、縫い込むのが一般的です。

縫い代の役割は第1に、仕立て直しができるようにすることです。
縫い代を縫い込んでおくことで、各部分を入れ替えたりすることが可能になります。

縫い代の第2の役割は、縫代を縫い込むことで着物に張りを持たせて型崩れを防いだり、芯のような役割を果たすことです。
このため、もし洋服生地で着物を作る場合も縫い代をギリギリで切り落とさずに、必要な場所には十分な縫い代を縫い込んだ方が良いです。

縫い代、縫い込みをいかに上手に始末するかは和裁の腕の見せどころでもあります。
布地に適した縫代の始末ができる様に、これからも研究していきたいと思います。

おすすめの和裁教科書

『きものの仕立て方』『続・きものの仕立て方』小田美代子著 文化出版局

私が今、市販されている和裁の本の中で一番おすすめの和裁の教科書は

『きものの仕立て方』『続・きものの仕立て方』小田美代子著 文化出版局

です。

『きものの仕立て方』には単衣物の仕立て方、『続・着物の仕立て方』は袷の仕立て方が詳しく紹介されています。

本格的な職人仕事を豊富なカラー写真で解説していて分かりやすいです。寸法も鯨尺メインで表記されています(cmも併記)。
初心者向けですが、やり方を素人向けに簡単にして伝えるのではなくプロの仕事を正確に紹介しています。
私も自分のやり方とは違うところもあるのですが、よく参考にさせていただいています。

本格的な和裁に興味があるけれど、忙しくて今すぐには習いに行けなかったり、そもそも通える場所に教えてもらえるところが無いということもあると思います。

図書館にも置いてあるかもしれませんので、ぜひ興味のある方はご覧になってみてください。

浴衣の水通し

浴衣の反物は、綿や麻・化繊など家庭で水洗いができる素材が多いです。

水洗いをすれば生地がある程度縮むのは仕方がないのですが、水通しをして予め生地を縮ませてから仕立てることで、洗濯による縮みをできるだけ少なくすることができます。

写真は綿麻のシボのある浴衣反物で、丈が2尺で5分縮みました。2.5%の収縮率です。
もし水通ししないで仕立てて洗濯したら身丈が1寸(約3.78cm)くらい詰まってしまったかもしれません。

タンポポ和裁では、通常、生地の性質に応じて水通しをしてから浴衣を仕立てています。(水通しが必要のない場合、しない方がよい場合もあります)

ただ、浴衣は身丈短めで軽やかに着るのも良いものですし、水通しをするとパリッとしたノリの効いた風合いが損なわれるのでしたくないという方もいらっしゃいます。
お客様のお好みに合わせてお仕立ていたしますので、お気軽にご相談ください。

先日、近くの公園で咲いていた菜の花。
春は浴衣のお仕立て開始シーズンです。