普段の着物のお手入れ

着物はお手入れが大変だと言われますが、それほど手間をかけなくてもポイントを押さえれば長く綺麗な状態で保てると思います。
私が心がけているのは以下の3点です。

1)よく観察しながらブラシをかける

まず、シミや汚れがついていないかよく観察しながらブラシをかけます。
汚れやすい「衿」「袖口」「裾」は特によく観察します。

ブラシは布の地の目に沿って縦方向に、生地を痛めないよう力を入れずに軽く優しくかけます。
ブラシをかけることで目に見えないホコリやチリを取り除けます。繊維の流れも整えることができるそうです。

ここでは「よく観察する」ことが大切です。
その結果シミや汚れを発見した場合、大切な着物の場合は潔く?プロに相談します。

私は東京・新宿の「そろり庵 きものなおし」様にお手入れをお願いしています。
気軽にご相談することができるのでいつも心強いです。

2)一晩干して風を通す

着物は湿気が大敵です。室内の直射日光のあたらない風通しの良い場所に干して、湿気を飛ばします。一晩干せば十分だと思います。

湿度の高いときは除湿機を使うとカラッと干すことができます。
着物用の衣紋掛けが1つあると便利です。

3)丁寧にたたむ

着物は折り目正しくたたんでおくだけで、アイロンをかけなくても形が整います。
次回着る時に気持ちよく着るための最大のポイントは「丁寧にたたむ」ことだと思います。

着物は大きいので広い場所の方がたたみやすいです。広い机などが無ければ、床や畳の上に「衣裳敷き」を敷くとよいでしょう。
大きな折り紙を丁寧に折るような気持ちでたたむと良いです。

ラジオで和裁講座!?

戦前のラヂオテキスト「和服裁縫」「裁縫」

今や動画の時代で和裁の動画も沢山ありますが、今から約90年前の1930年代には何とラジオで和裁講座が放送されていたようです。

ちなみに日本でラジオ放送が始まったのは1925年(大正14年)だそうです。その後1953年(昭和28年)にはテレビの本放送が始まりました。

下の写真は太平洋戦争が始まる前の1933年(昭和8年)、東京中央放送局第二放送(現在のNHK)のテキストです。
テキストがあると言っても、どんなふうに音声で裁ち方や縫い方を説明していたのでしょう?
みんな着物を着て縫ってが当たり前の時代だったから、実際にやって見せなくても伝わった部分が多かったのでしょうね。

私はラジオが好きなので、もし今ラジオ和裁講座があったらどんな感じだろうと想像するとワクワクします。

一体いつ頃からいつ頃までラジオで和裁講座が放送されていたのか、音源が残っていたらぜひ聞いてみたいものです。

中とじ糸のこと(その2)

「絹小町糸」は絹の手縫い糸の一種ですが、くず繭を紡績してつくるので少しけば立っています

先日、自分の袷着物の中とじ糸が黄色く変色して胴裏までシミになってしまっていることを発見しました…

以前ブログで書きましたように木綿の中とじ糸のところからシミになってしまうことは良くあります(原因が木綿の中とじ糸だと断定できるわけではありません)。
(以前のブログ→「中とじ糸のことhttps://tanpopo-wasai.jp/tools/350/

あまりお目にかける様なものではないのですが、以下の様なシミです。
ちなみに2008年頃に呉服屋さんで仕立ててもらった着物です。仕立ててからもう12年も経っていたのだとビックリしました。仕立てはとっても綺麗でお気に入りです。

衿の中とじ糸が変色して裏衿までシミになっています

衿くけをほどいて中を見ると以下のようにかなり中とじ糸が変色していました。

変色した木綿の中とじ糸

本来であれば胴裏までシミが出ているので全部解いて洗い張りをして仕立て直すのがベストですが、中とじ糸として使えるか試してみたい「絹小町糸」が手に入ったところだったので変色した中とじ糸だけ取り替えてみました。

「絹小町糸」で中とじしてみたところ

胴裏のシミは消えませんが、応急処置としてすっきりしました。
手に入れた「絹小町糸」が中とじ糸としてふさわしいかどうか、もう少し自分の着物などで試してみようと思います。