中とじ糸のこと(その2)

「絹小町糸」は絹の手縫い糸の一種ですが、くず繭を紡績してつくるので少しけば立っています

先日、自分の袷着物の中とじ糸が黄色く変色して胴裏までシミになってしまっていることを発見しました…

以前ブログで書きましたように木綿の中とじ糸のところからシミになってしまうことは良くあります(原因が木綿の中とじ糸だと断定できるわけではありません)。
(以前のブログ→「中とじ糸のことhttps://tanpopo-wasai.jp/tools/350/

あまりお目にかける様なものではないのですが、以下の様なシミです。
ちなみに2008年頃に呉服屋さんで仕立ててもらった着物です。仕立ててからもう12年も経っていたのだとビックリしました。仕立てはとっても綺麗でお気に入りです。

衿の中とじ糸が変色して裏衿までシミになっています

衿くけをほどいて中を見ると以下のようにかなり中とじ糸が変色していました。

変色した木綿の中とじ糸

本来であれば胴裏までシミが出ているので全部解いて洗い張りをして仕立て直すのがベストですが、中とじ糸として使えるか試してみたい「絹小町糸」が手に入ったところだったので変色した中とじ糸だけ取り替えてみました。

「絹小町糸」で中とじしてみたところ

胴裏のシミは消えませんが、応急処置としてすっきりしました。
手に入れた「絹小町糸」が中とじ糸としてふさわしいかどうか、もう少し自分の着物などで試してみようと思います。

絹手縫い糸200色セット

都羽根 絹手縫糸200色セット

着物を縫う時、絹は絹手縫い糸で縫います。
最近は町の手芸屋さんもすっかり少なくなってしまいました。
やっと手芸屋さんを見つけてもミシン糸やポリエステル・木綿糸はあっても絹の手縫い糸を扱っているお店はなかなかありません。

遠くの町まで探しに行くのは大変なので、色見本を手元においてインターネットで購入することが多いです。

都羽根 絹手縫い糸 見本帳

今回1色1個ずつですが思い切って200色購入してみました。しばらくは糸選びで悩むことが少なくなると思います。
見ているだけでもとても綺麗ですし、嬉しいです。

タンポポ(蒲公英)色の絹手縫い糸

手縫い針(印針)

手元にあった四ノ三(しのさん)の針達

「着物はミシンではなくて手で縫っているんですか(いまだに)??」
と驚かれることがたまにあります。

そうなんです、手で縫っているのです!
(場合によってはミシンで縫うこともありますが手縫いの様に縫うには熟練の技術が必要です)

和裁で使う手縫い針は「印針(しるしばり)」と言います。
印針は「四ノ三(しのさん)」とか「三ノ三(さんのさん)」などという呼称で針の種類を分けています。

はじめの数字は針の太さを表します。
一般的に、初めの数字が「四」の針は絹針で、「三」の針は木綿針です。

あとの数字は針の長さを表しています。
数字が1増えるごとに約3mm 長くなります。
手の大きさに合わせて運針しやすい長さの針を選びます。

私は「四ノ三(しのさん)」の針を愛用しています。
曲がった針は待針として使っています。

ちなみに昔は藩ごとに針を作っていたため呼称や寸法が地方によって違っていたそうです。
同じ「四の三」という呼称の針でも寸法が江戸と関西で違う…ということがあったのかもしれませんね(今はJIS規格もありますし、ほぼ同じだと思います)。

現在は国産縫い針のほぼ100%が広島県で生産されているそうです。

NHKの放送番組を見つけました。
広島の縫い針 | 動画で見るニッポンみちしる (NHK 新日本風土記アーカイブス 2014年放送)
https://www2.nhk.or.jp/archives/michi/cgi/detail.cgi?dasID=D0004990506_00000

作ってくださっている職人さん、本当にありがとうございます。
おかげさまで毎日仕事ができます!