手縫い針(印針)

手元にあった四ノ三(しのさん)の針達

「着物はミシンではなくて手で縫っているんですか(いまだに)??」
と驚かれることがたまにあります。

そうなんです、手で縫っているのです!
(場合によってはミシンで縫うこともありますが手縫いの様に縫うには熟練の技術が必要です)

和裁で使う手縫い針は「印針(しるしばり)」と言います。
印針は「四ノ三(しのさん)」とか「三ノ三(さんのさん)」などという呼称で針の種類を分けています。

はじめの数字は針の太さを表します。
一般的に、初めの数字が「四」の針は絹針で、「三」の針は木綿針です。

あとの数字は針の長さを表しています。
数字が1増えるごとに約3mm 長くなります。
手の大きさに合わせて運針しやすい長さの針を選びます。

私は「四ノ三(しのさん)」の針を愛用しています。
曲がった針は待針として使っています。

ちなみに昔は藩ごとに針を作っていたため呼称や寸法が地方によって違っていたそうです。
同じ「四の三」という呼称の針でも寸法が江戸と関西で違う…ということがあったのかもしれませんね(今はJIS規格もありますし、ほぼ同じだと思います)。

現在は国産縫い針のほぼ100%が広島県で生産されているそうです。

NHKの放送番組を見つけました。
広島の縫い針 | 動画で見るニッポンみちしる (NHK 新日本風土記アーカイブス 2014年放送)
https://www2.nhk.or.jp/archives/michi/cgi/detail.cgi?dasID=D0004990506_00000

作ってくださっている職人さん、本当にありがとうございます。
おかげさまで毎日仕事ができます!

色を見分ける

日本色研 配色カード104

最近、色の勉強をしています。

まずは、配色カードを使って基本の12色を見分けられるようになることが目標です。なかなか難しいのですが、練習すればできるようになるそう。
カルタ遊びのようにトレーニングしています。

色のセンスも、知識で補えるとのこと。

和裁と直接関係は無いけれど、色を知ることで着物を楽しむ間口が広がっていったら良いなと思っています。
八掛の色選びなどに役にたつかもしれません。

背縫いの力、縫い眼の力

八掛の背縫いの縫い目

古い言い伝えですが、背縫いの縫い目には着物を着ている人を守る力があると聞いたことがあります。

昔々、背中の首の下(ちょうど背紋を入れる位置あたり)に身体と外界の出入り口?があると考えられていたそうです。
うっかりするとそこから魂が抜け出てしまったり、悪い気(病気など)が中に入り込んでしまうことがあると。

大切な人、着物を着る人を守りたい。
そんな気持ちで着物を縫った昔の人たちは、着物の背縫いの縫い目が背中の「眼」として、悪い気が体に入ってこないようにジロリと睨みをきかせてくれると考えるようになったようです。
(赤ちゃんの着物である一つ身には背縫いが無いので、その代わりに背守りをつけます)

迷信深くない私も昔の人たちの祈りに思いをはせて、背縫いを縫う時は気持ちを整えて縫うように心がけています。(あまり心を込めたら迷惑かもしれないので、サラッと縫います、、)

着物の仕立て屋が広幅の洋服生地から着物を作る時も背縫いを付けたがるのは、背縫いがある方が着付けがしやすいということだけでなく、こんな理由もあるのでした。